第1回 koguma Kumaki さん
KUMAKI GLASSES STYLE
メインランドにあるKUMAKI GLASSES STYLEの本店を訪れた方は、まずは膨大な商品数に圧倒されることでしょう。眼鏡だけでも、これほど多彩なデザインがあるのかと驚くバリエーション。加えて、帽子などのアクセサリーや楽器、ポーズから服まで。これらの商品をほぼ一人で手がけているのが、今回お話を伺う、オーナーのkoguma Kumakiさんです。
koguma Kumakiさんインタビュー
今でも気持ちは初心者と変わらない
Haruka McMahon: まずは、自己紹介と今に至る簡単な来歴をお願いします。
koguma Kumaki: アカウントは2007年7月に作りましたが、チュートリアルが意味わからず2時間でリタイアしました。
別ゲームの友達からSIMを買ったから来いと呼ばれて9月末に再開、そのSIMに居候しての引きこもり生活がスタートしました。
とりあえずは動画プレイヤーとか家具等を作っていました。
当時SLMameでよく紹介されていた眼鏡教室*1、この3期が開催されると言うのでお世話になったのが一つの転機になりました。また眼鏡教室では長く講師もさせていただいていました。販売用の設定まで教えていただいた事もありまして、それから作ったものを販売するようになりました。
プリムからスカルプ、メッシュと技術は変化しましたが、お店に関してはずっとその延長にあります。
Haruka McMahon: なるほど。ちなみにもしかしてきっかけはクーロン*2?
koguma Kumaki: それも大きかったですね。一番はその、SIM買った友達に呼ばれたからなんですが、その日のうちにクーロンは連れて行ってもらいました。
Haruka McMahon: で、そのお友達のSIMで家具などを作っていらしたと。その頃は物販はやってたんですか?
koguma Kumaki: いえいえ、なんか作っては並べて悦に入ると、そんな感じでした。販売の開始は2007の暮れからになります。
Haruka McMahon: ちょうどメガネ教室の卒業の頃ですか?
koguma Kumaki: 多分それくらいですね。卒業のほんのちょっと前かな。今から思えばまあひっどいもんでしたけどw運よくか悪くか、眼鏡屋さん始めちゃったわけです。
Haruka McMahon: でもそこから始まって、いまやこれだけの大手ですからね。
koguma Kumaki: 大手なんですかねえw 今でも気持ちは初心者と変わらないですよ。
Haruka McMahon: それは具体的にはどんな感じですか?
koguma Kumaki: あの頃から全然変わらず、毎日新しい作り方を憶えて何かしら作って、ひたすらその繰り返しですね。プリムから外部ソフトに方法は大きく変わりましたが。
Haruka McMahon: なるほど、最近の商品はほとんどメッシュですね。
koguma Kumaki: メッシュ楽で綺麗でいいですよ。はるかさんも憶えましょう。
Haruka McMahon: (笑)
メッシュ制作あれこれ
koguma Kumaki: ただ、楽しみで作るならノーマルプリムでもなんでもいいんですが、お店で販売と考えると、今はもうほとんどのジャンルがメッシュじゃないと見て貰えなくなってきていますね。新人さんは入りにくいかなと思います。
Haruka McMahon: そういう側面もあるんですねー。
koguma Kumaki: 洋服ももうほとんどメッシュですもんね。
Haruka McMahon: 確かに、一度メッシュの綺麗な服を見慣れてしまうと、不恰好なレイヤー服はなかなか……。
koguma Kumaki: レイヤーでも、今でも通用するようないい物はいっぱいありますけど、それ専門でお客さんがくるか?っていうところですね。どっちが優れてるっていうんでなく、訴求力ですね。
おまけに、ソフトの操作だけ憶えてしまえばメッシュの方がプリムより簡単ですからw
Haruka McMahon: なるほど。ちなみにソフトは何を使ってます?
koguma Kumaki: はい、モデリングはBlenderです。あとは補助的にMyPaintやGIMPを使っています。ほとんどの作業はBlenderですね。
Haruka McMahon: Gimpはテクスチャですか?
koguma Kumaki: テクスチャも基本的にはBlenderで作ってしまうので、合成や微調整とあとは看板作りですね。Blenderって、テクスチャをブラシにして3Dモデルを塗ったりもできるんですよ。
Haruka McMahon: へえ、それは面白い。
koguma Kumaki: フォトショップも新しいのはできるはずですが、テクスチャをシームレスにして並べて……っていう作業から開放されるので、かなり使えます。
Haruka McMahon: MyPaintはこれですか。 http://mypaint.intilinux.com/ これもGIMPと同じような使い道?
koguma Kumaki: 仕上げではなく、テクスチャを描く方ですね。あとはデザインを絵で起こしたいときに直感的にさらさらっと描けるので便利です。まあ絵心は無いので落書き帳代わりですがw。これ、面白いところで左右対称モードとかありましてね。*3コピペしないでも対称型が書けるわけです。アイデア膨らませるのに結構便利です。
SLものづくりは生産職の延長
Haruka McMahon: こうして聞いてると、やっぱりものづくりがSL生活の根幹を占めてる感じですね。
koguma Kumaki: それはその通りだと思います。ほとんどそれだけですね。
Haruka McMahon: SLをはじめたのも、ものづくりに興味があって、ですか?
koguma Kumaki: いえ、単に話題だったからなんですがw。ただネットゲームはやっていたので、その延長にはありますね。鍛冶屋とか大工とか。
Haruka McMahon: 事前の打ち合わせでも、「SLの魅力は他ゲームで言うところの生産職、SLの機能はその最高位にある」っておっしゃってましたね。
koguma Kumaki: 普通はどうしてもシステムに用意されたテンプレの組み合わせにしかならないんですが、SLは自由自在ですもんね。LSLまで憶えれば動かす事までできますしねえ。
Haruka McMahon: 一度この自由度を味わってしまうと、決まりきった手順の生産じゃ満足できなくなる?
koguma Kumaki: んー、あれはあれでw、まあw。不自由な環境と言うのも逆に工夫の余地がありますから。
Haruka McMahon: まあそうですね。
koguma Kumaki: 楽しみ方の方向は変わりますけどね。SLだけでいっても、四角や丸いプリム並べてそれっぽさを求めるのと3Dソフトで作ったものがそのまま出てくるのと、表現力が求められるのってむしろプリムですもんね。もちろん自由度は逆になりますが、どっちが楽しいのかな?っていうと難しいところです。
koguma Kumaki: そこで眼鏡教室ですかね。
Haruka McMahon: おお。
koguma Kumaki: SLの操作憶えるのには最高でしたけど、今からやる人にはどうなんでしょうねえ。価値があるのは間違いないところですが。
Haruka McMahon: でもメッシュやるにしてもオブジェクトの基本操作は必須ですから。
koguma Kumaki: とはいえもう、今ってほとんどのマイクロプリムが手品じゃなくなっているし、需要があるんだろうか?っていうのはありますよねえ。
3Dソフトは取っ掛かりが難しいですね。インワールドで授業が出来る物でもないし。
Haruka McMahon: ああそうか。
koguma Kumaki: でも最初の一歩だけ誰かに教えてもらえたら、出来るようになる人はいっぱいいると思います。はるかさんはメタセコ使えますっけ?
Haruka McMahon: ほんのちょっと。からたちばなさんのチュートリアル*4をかじっただけですが。
koguma Kumaki: リグを入れる機能はないですけど、今のバージョンはCollada出せるのでmesh作れますよ。
Haruka McMahon: 今度挑戦してみます。
koguma Kumaki: リグ入れるんだとkeynoteっていう連携できるソフトがありますが、SL用のボーンが無いし、Blenderに取り込んで設定と言うのが多分安くて楽なんですが、じゃあ最初からBlender憶えた方がはやいじゃんっていう・・
Haruka McMahon: なるほどw。keynote はこれですか。 http://mqdl.jpn.org/sb.cgi?eid=18
koguma Kumaki: はい、そうです。ただ、SL用のボーンは自作しないといけないので、かえってハードルが高いかもしれませんね。SLのボーンって簡単にいうと、設定された骨の名前でどこのパーツかを判断してるんですね。なのでSL用の名前の付いた骨一式が必要になります。サイズも自分で調整しないといけないし、なかなか大変ですね。
Haruka McMahon: ちなみにメッシュの服とかは販売予定あります?
koguma Kumaki: ありますよー。具体的なところは未定ですが、BC322っていうパンクショップがありまして、そこから出ます。私がモデリングしてBCのオーナーが今まさにテクスチャ描いてくれています。BC322はそこそこ古いお友達でして、モデリングとスクリプティング担当ってことで参加することになりました。なのでコラボではないのです。
Haruka McMahon: では商品としてはBC322さんの、という形で?
koguma Kumaki: そうなります。
先生たちに助けられてきた
koguma Kumaki: 私多分とても運がよくて、節目節目で先生って呼べるような人たちに助けられてきていたんですね。初心者時代のkirin先生ももちろんですし、スカルプが導入されればNITさん*5にメタセコイア教えてもらい、Blenderも取っ掛かりはNITさんにレクチャーを受けてます。あとはnaonao2さんにSL向けのBlender操作を習いましたね。MDRMっていう家具屋さんをしている方です。Blenderのバージョンが上がってからはSLじゃなくBlenderのチュートリアルサイトを見てってことになっちゃいますがw(ジョナサン最強
Haruka McMahon: なるほど。でもこれだけ勉強熱心なkogumaさんだから、教えるほうも楽しいだろうなあ。
koguma Kumaki: だといいんですけどねw
Haruka McMahon: 今日は長い時間お時間をさいていただきありがとうございました。最後に、宣伝やブログ読者へのメッセージなどがあれば。
koguma Kumaki: MensDeptっていう月替わりの販促イベントがあるんですが、8/5にそこに出すのが最新になります。MensDeptは通常よりお安くなってますので、お買い得ですよってことでw
インタビューを終えて
実は私、Kogumaさんとは、文中に出てきたKirin先生の眼鏡教室での同期でありまして、その後、同教室の講師も一緒に務め、今に至るまで長い付き合いのフレンドになります。講師時代、生徒さんが質問に来られるように、SLにログインしているときは教室でものづくりしながら過ごすことが多かったんですが、その頃kogumaさんは毎日のように新しい眼鏡を作って持ってきていました。多いときには1日に3本、なんていう日もあり、これだけ大量に作っていたら腕が上がるのも当然だろうという感じでした。
今回、久しぶりにものづくりに関する話を聞いて、これだけ腕を上げた今でも日々新しい作り方を覚えて、という勉強熱心さに頭が下がる思いです。
新作「Carlyle」は明けて本日8/5からのMensDept8月セールで販売開始です。お楽しみに。
*1:眼鏡教室: 眼鏡ショップ「シリアスギグル」オーナーのkirin Xenoさんにより、2007年7月から2010年7月まで11回にわたって開催されたSLものづくり教室。約1ヶ月かけてノーマルプリムの加工方法を学び、最終的に1本の眼鏡を作り上げる。その後、卒業制作という形でオリジナルの眼鏡を作成し、認められた生徒に対してはその眼鏡を販売する場所も提供される。
*2:クーロン: 有限会社ジェットグラフィクスにより運営されているKowloonシム。PlayStation用ゲーム「クーロンズ・ゲート」のCGスタッフがセカンドライフにゲームの世界を再現するということで2007年当時話題となり、このSIMを訪れるためにセカンドライフをはじめるファンも多くいた。
*3:その後kogumaさんより訂正がありました。左右対称モードがあるのはMyPaintではなくKrita だとの事です。 http://krita.org/
*4:からたちばなさんのチュートリアル: メタセコイヤによるモデリングをセカンドライフのスカルプトテクスチャに変換するツール「M2Sculpt」作者、NIT Denceoさんによるチュートリアル記事。「からたちばな」はブログの旧タイトル。
*5:NITさん: NIT Denceoさん。注4参照