番外編:セカンドライフって電通が流行らそうとしたアレでしょ?というあなたに(後編)
セカンドライフを伝道する
伝道師になろう! Advent Calendar 2016 からお越しの皆様、はじめまして。「伝道師になろう!」はイベント自体知らなかったため、今回このアドベントカレンダーが初参加となります。
今回私が伝道したいのは「セカンドライフ」。仮想世界サービスとして2007年ごろに日本で話題になる一方で、電通がゴリ押ししているなどというネガティブな噂も立てられ、やがて世間の話題から消え、忘れ去られていった――皆さんのイメージはそんなところでしょうか。
けれど、実はサービスはまだ続いているし、実態は当時のネガティブなイメージとはちょっと違う……という、記事タイトルにふさわしい内容は、前回 僕に「○○」の話させたら長くなりますよ のアドベントカレンダーに参加した記事で書いてしまいました。
なので前回の記事を改題して前編とし、今回は後編として「伝道師になろう!」のコンセプトにのっとり、「私が」セカンドライフのどこに魅力を感じて続けているかを中心に語ろうと思います。
「ユーザーが何でも自由に作れる」とはどういうことか
自分がまだセカンドライフを始める前、どういう物なのかと調べていた時に、その売り文句としてよく見かけたのが「ユーザーが何でも自由に作れる」という言葉。そして、その意味をダイレクトに伝えてくれたのが、その頃に出会ったこの動画でした。
セカンドライフ-secondlife-漆紅-sick-chapter1-1
これは、セカンドライフを利用して作成された映画=「マシニマ」と呼ばれる動画です*1。この動画を構成する要素がどのように作られているのか、下に列挙しました。
キャスト
- 体形および顔立ち:MMORPGのキャラメイクのようなパラメータ調整
- 肌:テクスチャ(自作可能)
- 服:テクスチャ(自作可能)+立体パーツ(表面テクスチャ含め自作可能)
- 髪型、アクセサリ:立体パーツ(表面テクスチャ含め自作可能)
演技
- 動作:専用ツールにより作成するモーションデータ
- 声:アフレコ
舞台セット
- 大道具(ビル、街並み、室内装飾等)
- 小道具(武器、プラカード、アタッシェケース等)
:立体パーツ(表面テクスチャ含め自作可能)+スクリプトによる動きや光の制御 - ライティング:スクリプト制御+クライアントソフト制御
これにさらに、動画編集ソフトによる編集・映像効果・音響追加が加わるわけですが、それらと声のアフレコを除くすべてが、セカンドライフの中で作成されたものです。そしてさらに、これらのうちセカンドライフの運営元が提供しているのは、こうしたものを配置する「空間」のみ。配置されるオブジェクトやアバターはすべて、ユーザーが作成しているのです。
下のリンク先は、こうしたユーザーの制作物をWebで販売するマーケットプレイスです。
膨大とも言えるUGC要素。けれどそれは、ネトゲ運営などが提供する物に飽き足らないユーザーにとっては、自分の趣味を具現化できる、とてつもない可能性です。
そしてそれら膨大な要素を(一人でではないにしろ)すべて作り上げ、一つの作品として統合するスキルと熱意を持った人物がそこに存在している。それも一人ではなく、何十人、何百人、何千人と。
そして、自分もそこに加わることが可能かもしれない。そう気づいたとき、それまで自分も無批判に受け入れていた「ブーム捏造」という見方が180度変わりました。自分もこんな風にこの世界で何かを作りたい。作ったものを誰かと分かち合いたい。その一心で、情報を集め、実際にセカンドライフにログインし、作り方を学び。仮想世界の外では相変わらず繰り返される「オワコン」「ブーム捏造」という揶揄に憤慨し、見てろよいつかセカンドライフすげえって言わせてやるから、と思いながら、気が付けば10年が経っていました。
今年の初夏、私はセカンドライフの仲間たちと協力して一つのゲームイベントを作り上げました。
セカンドライフを訪れたユーザーが、アドベンチャーゲームをプレイするように物語を体験できるシステムです。かつて「漆紅」に憧れてセカンドライフでの制作活動を始めた私の、一つのマイルストーンになったと感じています。
リンク先のイベントガイドサイトには、セカンドライフの始め方についても掲載しています。もしも興味があって、パソコンのスペックが水準を満たすようなら、覗きに来てみませんか?twitterの@regicat、あるいはセカンドライフユーザー Haruka McMahon までご連絡下されば、いつでもご案内いたします。
*1:もう10年も前のものなので、解像度が低かったりするのはご愛敬ということでひとつ。